さがみはらカウンセリングルーム

column

2026/07/20

「夫に話が通じない」と悩む妻へ それは愛情の欠如ではなく、お互いの「認知特性」の違いかもしれません

「何度伝えても、どうして分かってもらえないの?」

「何度言ってもお願いしたことを間違える」

「真剣に話しているのに、生返事ばかり」

「相談しても反応が薄く、『聞いているの?』と思ってしまう」

共働き世帯が増え、仕事や家事、育児を両立するご家庭では、こうした日常のすれ違いに悩まれるご夫婦が少なくありません。

最初は小さな出来事だったとしても、それが積み重なると、

「私や家族に関心がないのではないか」

「何を伝えても分かってもらえない」

「一緒に生活していても孤独だ」

という思いにつながることがあります。

夫婦関係には価値観や生活環境、ストレスなど様々な要因が影響します。

そのなかで、お互いの認知特性(情報の受け取り方や処理の仕方の違い)が、すれ違いを大きくしているケースも少なくありません。

以下は実際の相談事例をもとに、複数の事例を統合し、個人が特定されないよう十分に加工・改変した架空事例です。


【架空事例】「やる気がない」と思っていた妻と、「どう反応すればよいか分からなかった」夫

30代の共働きご夫婦のお話です。

奥様は仕事に加え、保育園の送り迎えや家事、育児まで効率よくこなしていました。

一方、ご主人は頼まれたことには取り組むものの、家事の優先順位が分からなくなったり、口頭で伝えられた内容を忘れてしまったりすることがありました。

奥様は、

「何度言っても同じことの繰り返し」

「私ばかり頑張っている」

と感じるようになり、ご主人も、

「何をしても怒られてしまう」

「家では緊張してしまい、うまく話せない」

と次第に家庭で過ごすことが苦痛になっていきました。


カウンセリングと心理検査から見えてきたこと

カウンセリングを進める中で、お二人の同意を得たうえで、必要に応じた心理検査も実施しました。

(なお、検査だけで何かを判断するのではなく、これまでの生活歴やお仕事での様子、現在のストレス状況なども含めて総合的に整理していきます。)

その結果、ご主人には、

  • 一度に複数の情報を口頭で受け取る場面では負担が大きくなりやすい
  • 疲労やストレスが高まると、情報を整理したり反応したりすることに時間が必要になる

という特徴がうかがえました。

一方、奥様は、

  • 情報処理が速く
  • 複数のことを同時進行で進めることが得意

という傾向がありました。

つまり、お二人は「情報を処理するスタイル」が異なっていたのです。

この違いが積み重なることで、

「無視された」

「やる気がない」

「話を聞いてくれない」

という受け止め方につながっていた可能性が考えられました。


「相手を変える」のではなく、「伝え方」を工夫する

カウンセリングでは、「どちらが良い/悪い」ではなく、お互いが理解しやすいコミュニケーションの方法を一緒に考えていきました。

例えば、

  • 口頭の説明や依頼だけでなく、LINEやメモなど視覚的な方法も併用する
  • 一度に複数のことを伝えず、一つずつ確認する
  • 「今少し話せる?」とタイミングを確認してから話しかける
  • 家事を「気づいた人がやる」ではなく、役割を具体的に決める

といった工夫を取り入れたことで、お互いのストレスは徐々に軽減していきました。


「話が通じない」の背景を一緒に整理してみませんか

夫婦関係がうまくいかない背景には、

  • 性格
  • 育ってきた環境
  • 価値観
  • 生活習慣
  • ストレス
  • 認知特性

など、さまざまな要因が重なり合っていることがあります。

「愛情がない」「思いやりがない」と結論づける前に、お互いの感じ方や考え方の違いを整理することで、新たな理解につながることも少なくありません。

さがみはらカウンセリングルームでは、臨床心理士・公認心理師が、お一人おひとりのお話を丁寧に伺い、必要に応じて心理検査も活用しながら、ご夫婦それぞれの特徴や現在の状況を多面的に整理しています。

「何度話し合っても同じことの繰り返しになってしまう」

そんなときは、お二人だけで抱え込まず、専門家と一緒に関係性を見つめ直してみませんか。