さがみはらカウンセリングルーム

column

2026/09/17

「もう会社から期待されていないのではないか」 ―40~50代のキャリア停滞とミドルエイジクライシス―

「これまで頑張ってきたのに、なぜ自分がこの部署なのでしょう」

「昇進もなく、評価も上がらない。もう会社から期待されていないと思います」

Aさんは50代の会社員。ある専門分野で経験を積み、若手の指導や難しい案件を任されてきました。

ところが人事異動で、これまでとはほとんど関係のない部署へ配置されました。

新しい職場では、自分が長年培ってきた知識や人脈を活かす機会がほとんどありません。

さらに、本人が期待していた昇進も見送られました。

周囲では後輩が管理職となり、自分より若い上司から仕事の指示を受けるようになります。

「自分のこれまでのキャリアは何だったのだろう」

そんな思いが強くなっていきました。

「仕事ができなくなった」のではなく、意味を感じられなくなっていた

異動後のAさんは、以前なら簡単にできていた仕事でも集中できなくなりました。

新しい業務を覚えようとしても頭に入らない。

上司への報告が遅れる。

仕事を抱え込み、相談できない。

それによって評価はさらに下がり、

「やっぱり自分はもう必要とされていない」

という考えが強くなりました。

不眠や気分の落ち込みも現れ、休日にも評価や今後の処遇のことばかり考えるようになり、カウンセリングルームを訪れました。

カウンセリングで話を整理すると、Aさん自身が、

「能力が落ちたというより、今の仕事を頑張る意味が分からなくなっていた」

と気づきました。

中年期のキャリアでは、「できるか、できないか」だけでなく、自分の経験が評価されているか、今の仕事に意味を感じられるかが大きく影響します。

これまでのキャリアを「棚卸し」してみる

カウンセリングでは、現在の不満だけでなく、Aさんがこれまで何をしてきたのかを振り返りました。

困難な案件を解決した経験。

後輩を育てたこと。

顧客との信頼関係。

専門知識を積み上げてきたこと。

組織の変化に対応してきた経験。

現在の人事評価だけでは測れない強みが数多くありました。

Aさんは、

「昇進できなかったことで、自分のキャリア全部を否定されたように感じていました」

と話しました。

一方で、現在の部署でも、調整力や後輩への助言、問題を先回りして考える力など、これまでの経験を活かせる場面があることにも気づいていきました。

「昇進すること」だけをキャリアの成功にしない

Aさんは、はじめのうちは退職や転職など結論を急ぐ様子もありましたが、

「今の職場で自分にできることは何か」

「これから何を専門性として残したいか」

「会社員としての残りの期間をどう働きたいか」

をお話ししながら整理していきました。

上司とも業務内容について話し合い、自分の経験を活かせる業務への関わり方を少しずつ増やしました。

また、上司や周囲に定期的に相談することも意識しました。

やがてAさんは、

「以前と同じキャリアではないけれど、今の立場だからできる仕事もある」

と思えるようになりました。

仕事への関心も戻り、若手の相談に乗ることや、これまでの知見を部署内で共有することに新しい意味を感じるようになりました。

中年期は、「これからを見据えて、再構成する時期」

40~50代では、不本意な異動、昇進見送り、評価の停滞、役職や待遇の変化などをきっかけに、

「もう自分のピークは過ぎた」

と感じることがあります。

しかし、一度の人事評価や現在の職位だけで、それまでのキャリアすべてが決まるわけではありません。

カウンセリングでは、40~50代のキャリア停滞、不本意な異動、昇進・昇給への悩み、職場で評価されないつらさ、専門性を活かせない苦悩、仕事へのモチベーション低下などを抱える方に対し、これまでのキャリアや強み、価値観を整理し、現在の職場での役割や今後の働き方を再構成するための支援ができます。

「評価されないから、もう終わりだ」と結論を出す前に、

これまで積み上げてきた経験をもう一度棚卸しし、自分なりの仕事の意味とワークエンゲージメントを取り戻すことから始めてみるのはいかがでしょうか。