さがみはらカウンセリングルーム

column

2026/09/15

「お客様だから我慢するしかない」と思っていませんか? ―カスタマーハラスメントを受けた後の心のケア―

「またあの人が来るのではないかと思うと、仕事に行くのが怖い」

「会社は対応してくれています。でも、言われたことが頭から離れません」

Aさんは、長年同じ組織で働いてきた中堅社員でした。

もともと真面目で責任感が強い一方、人間関係のストレスを抱え込みやすく、以前にも職場環境の変化をきっかけに体調を崩した経験がありました。

さらに家庭の問題や自身の身体疾患の治療も重なり、「今度こそは問題なく働き続けたい」と考えていました。

そんな中、担当する顧客から繰り返し強い口調で責められ、無理な要求を受けるようになりました。

「自分の説明が悪いからだ」

と最初は耐えていましたが、次第に顧客の姿を見るだけで心臓が速くなり、夜にもやり取りを思い出して眠れなくなりました。

※本事例は複数の相談事例を参考に、個人が特定されないよう加工・統合した架空事例です。

会社が守ってくれても、心はすぐには元に戻らない

Aさんが上司へ相談すると、職場はすぐに対応しました。

一人では対応させない。

問題となった顧客との直接対応から一時的に外す。

困ったときには管理職が前面に立つ。

組織としては適切なバックアップが始まりました。

しかしAさんは、

「また同じことが起きるのではないか」

「自分は接客に向いていないのでは」

「職場に申し訳ない」

と考え続けました。

カウンセリングで「怖かった」と言えること

Aさんは、カウンセリングルームでの相談を開始しました。

カスタマーハラスメントでは、被害を受けた後の心理的なケアも重要であり、支援を求めて来室されたことは重要な第一歩でした。

当初は、

「もっと強くならなければ」と繰り返していました。

しかし話を重ねると、

「怒りを向けられるのが怖かった」

「また体調を崩すのが不安だった」

「家族にも心配をかけているのが辛かった」

という気持ちが少しずつ言葉になりました。

カウンセリングでは、出来事を振り返りながら、睡眠、身体反応、緊張の強さなどを確認し、呼吸法やリラクゼーション、考えが頭から離れないときの対処、仕事と家庭での休息の取り方などを一緒に整理しました。

症状が強い時期には、必要に応じて精神科・心療内科などの医療機関へ相談することも検討しました。

カウンセリングでは、医学的な治療と並行しながら、日常生活や職場でストレスにどう対応するかを共に検討していきました。

「自分が弱かった」と結論付けず、支援を使えるようになった

しばらくすると、Aさんの睡眠や緊張は徐々に落ち着いてきました。

職場とも相談しながら、安心して対応できる業務から少しずつ担当範囲を広げました。

Aさんは、

「以前は何かあっても、自分が耐えるべきだと思っていました。でも、会社や相談室に頼ってもいいんですね」

と話すようになりました。

カスタマーハラスメントからの回復は、「どんな相手にも平気で対応できる強い人になること」ではありません。

危険や負担を一人で抱えず、組織に助けを求め、自分の心身を守りながら働けるようになることが大切です。

カスハラを受けた後こそ、心のケアを

顧客・利用者等からの暴言、威圧的な言動、執拗な要求などを経験し、不眠、動悸、不安、出勤への恐怖、自信低下などに悩んでいる方は、カウンセリングを受けることをご検討ください。

出来事の整理、ストレスケア、セルフケア、職場復帰・就労継続に向けた心理的支援が可能です。

また、必要に応じて医療機関での治療や、職場・産業保健スタッフ等による環境調整とも役割を分けながら、安心して働ける状態を取り戻すことを一緒に考えていくことができます。

「会社にどのように相談して良いか分からない」

「会社には相談した。でも、辛く苦しい思いがぬぐえない」

「顧客対応から外してもらっても、不安や苦痛が続いている」

「出来事を思い出してしまい辛くなる」

どの段階でも、カウンセリングがお役に立てることがあります。

問題となった出来事が終わった後も、心のケアが必要なことがあります。