さがみはらカウンセリングルーム

column

2026/10/5

「管理職だから休めない」と頑張り続けていませんか? ―30代若手マネージャーが働き方を見直すまで―

「帰宅後も、頭の中ではずっと仕事をしています」

「休んだ方がいいのかもしれません。でも、今ここで休んだらキャリアが止まりそうで怖いんです」

Aさんは30代前半の会社員でした。

真面目で几帳面。仕事の正確さや責任感を評価され、若くしてマネージャー職へ昇進しました。

新規プロジェクトの立ち上げ、チームマネジメント、若手育成、予算調整、取引先との交渉。

忙しくても、

「自分がやらなければ」

と仕事を引き受け、成果も上げてきました。

ところが異動をきっかけに、職場の雰囲気や上司との仕事の進め方が変わりました。

周囲に相談するより、

「まず自分で何とかしよう」

と残業する日が増えました。

帰宅後もパソコンを開く。

在宅勤務の日には早朝からメールを確認する。

夜中に目が覚めると、スマートフォンで仕事の進捗を確認する。

いつの間にか、平日と休日の境がなくなり、仕事が頭から離れない状態になっていました。

※本事例は複数の相談事例をもとに、大幅に加工した架空事例です。

「まだ働ける」で不調のサインを無視することも

Aさんには以前、強いストレスと心身の症状で医療機関へ相談した経験がありました。

今回も、

「久しぶりに主治医へ相談した方がいいかもしれない」

と思いました。

しかし、

「管理職なのにメンタルで受診していると知られたらどう思われるだろう」

「服薬治療や休職になれば、昇進に影響するのではないか」

という不安があり、決断できませんでした。

一方、上司や人事担当者も、以前より表情が硬く、メールの返信時間が深夜まで続いていることを心配していました。

上司はAさんに産業医とカウンセラーへの相談を勧めました。

カウンセリングで初めて「頑張りすぎていた」と気づく

カウンセリングでは、

「なぜここまで仕事を手放せなくなったのか」

を振り返りました。

するとAさんには、

「人に任せるより自分でやった方が早い」

「部下に負担をかけてはいけない」

「管理職は弱音を吐いてはいけない」

という考え方があることが見えてきました。

責任感という長所が、いつの間にか「すべて自分で背負う」と抱え込み消耗する、弱みに変わっていたのです。

Aさんは、

「部下には休息も必要であると言っていたのに、自分にはそれができていませんでした」

と話しました。

休業を「キャリアを考え直す時間」にする

主治医、産業医、職場とも相談し、Aさんは一定の期間仕事を離れることになりました。

当初は焦りがありましたが、カウンセリングを継続しながら、睡眠や食事を整え、散歩や軽い運動などで活動性を保ちました。

同時に、

「自分は何を大切にして働きたいのか」

「管理職として、何を自分で担い、何を人に任せるのか」

「これから長く働くためには、どのようなことが必要か」

について考えました。

相談することは「弱さ」ではありません

Aさんは復帰に向け、

「夜間や休日は業務端末を見ない」

「困った案件は早めに上司へ共有する」

「部下に任せることもマネジメントの仕事と考える」

といった新しい働き方を準備しています。

「まだ働けるから大丈夫」と限界まで頑張るのではなく、

早い段階で相談することが、仕事を辞めず、キャリアを長く続けるための前向きな選択になることがあります。