2026/10/18
「仕事ではミスばかり。家に帰るとパートナーと喧嘩してしまいます」
Aさんは20代の会社員でした。
学生時代から忘れ物や遅刻が多く、興味のあることには集中できる一方、スケジュール管理や片付けは苦手でした。
社会人になると、電話を受けながら資料を作り、急な依頼にも対応するといったマルチタスクが増えます。
「手をつけようと思っていたのことと別のことを始めてしまう」
「締切直前に急いでなんとか終わらせる」
そんなことが重なり、上司から注意されるたびに、
「私は社会人としてダメなのでは」
と自信を失っていきました。
医療機関ではADHD(注意欠如・多動症)の診断を受けていましたが、困りごとは仕事だけではありませんでした。
同棲していたパートナーとの間でも、約束を忘れる、家事を完了できない、感情が昂ると強い言葉を返してしまう、といった出来事が続きました。
やがて関係が破綻し、Aさんは一人暮らしになります。
「仕事も恋愛も全部失敗した」
そう思うようになり、カウンセリングルームを訪れました。
カウンセリングでは、まずAさんがどんなときにストレスを感じやすいのかを整理しました。
疲れている夕方に複数の指示を受けると混乱する。
予定変更が続くと焦る。
否定されたと感じると感情が急激に昂る。
一方で、一つのテーマに集中できる環境では高い力を発揮できました。
そこで、仕事を細かく分ける、予定を視覚化する、疲労が蓄積する前に短い休息を入れる、感情が昂っている時にはその場ですぐ結論を出さない、といった方法を試していきました。
また認知行動療法的な振り返りを通して、
「ミスをした。自分には価値がない」
という考えから、
「ミスをした。ミスが起こりやすい条件があるから、対策を考えることができる」
という考えができるように、また思考と感情を整理できるようになりました。
その後、Aさんは、
「以前は自分を変えなければと思っていました。今は、自分を知って工夫する方が大事だと思えます」
と話しました。
ストレスケアは、「もっと我慢できる自分になること」ではありません。
自分が何に疲れ、何が助けになるのかを知ることから始められます。
