さがみはらカウンセリングルーム

column

2026/08/22

異動してから「自分は仕事ができない」と思うようになった ― 30代・中堅社員を襲う「職場とのミスマッチ」 ―

Bさんは30代。

大学卒業後、同じ会社で約10年間働いてきました。

これまで大きな問題もなく、周囲からも「安心して仕事を任せられる人」と思われていました。

ところが、ある支店への異動をきっかけに状況が変わります。

以前の職場では、ある程度本人の裁量で仕事を進めることができました。

しかし新しい職場では、書類の書き方、処理の順番、顧客への説明方法まで、細かなルールに沿うことが強く求められました。

最初は、

「職場が変わればやり方も変わる」

と考えていました。

ところが、何かするたびに、

「マニュアルを確認してください」

「この方法ではありません」

と指摘を受けるうち、

「私は仕事ができないと思われているのではないか」

という気持ちが強くなっていきました。

半年ほどすると、朝起きた瞬間から、

「今日は休みたい」

と思うようになります。

通勤途中には吐き気がし、喉が詰まる感じがする。

職場では突然涙が出そうになる。

休日になっても月曜日のことを考えてしまう。

そんな状態になり、カウンセリングルームを訪れました。

10年間働けた人が、突然「能力不足」になるのでしょうか

カウンセリングで一緒に振り返ると、Bさんには一つの重要な事実がありました。

異動前の職場では、長期間安定して働くことができていたのです。

つまり、

「Bさん自身の能力が突然なくなった」

のではなく、

「本人の仕事の仕方と、新しい職場が求める仕事の仕方との間に大きなズレが生じた」

と考えることができます。

仕事上の不調を考えるときには、「本人」だけを見るのではなく、「本人と職場環境との組み合わせ」を見ることが重要です。

中堅社員だからこそ言えない「分かりません」

30代になると、新卒社員の頃とは違います。

周囲からは、

「もうこれくらい分かるでしょう」

「経験者だから任せられる」

と思われます。

本人も、

「10年働いているのだから、できなくてはいけない」

と考えます。

そのため、本当は困っていても、

「分かりません」

「手伝ってください」

と言えなくなってしまいます。

中途採用者にも同じことがあります。

経験者として採用されたため質問できず、教育担当者もおらず、気づけば大量の仕事を一人で抱えている。

これは珍しい相談ではありません。

すぐに「自分が弱い」と結論づけない

Bさんとのカウンセリングでは、

「本当は上司に何と言いたいのか」

「どんな働き方なら力を発揮できるのか」

「何を我慢してきたのか」

を一つずつ言葉にしていきました。

職場への不満を話すことは、単なる愚痴ではありません。

自分が何に傷つき、何を大切にして働いているのかを知る手がかりになります。

症状が強い場合には、医療機関への受診や、一時的に仕事から離れて療養することも選択肢になります。

また、人事部門への相談、業務量調整、配置についての話し合いなど、職場側に働きかける方法を検討できる場合もあります。

異動後に調子を崩したら

人にはそれぞれ力を発揮しやすい環境があります。

細かなルールが決められている職場が安心な人もいれば、ある程度任せてもらった方が力を発揮できる人もいます。

人とコミュニケーションをとりながら進めるのが得意な人もいれば、一人で集中する時間が必要な人もいます。

さがみはらカウンセリングルームでは、異動・転職・中途採用後の不適応、仕事への自信低下、人間関係、休職や退職を迷っている方からのご相談にも対応しています。

「辞めたい。でも、本当に辞めるしかないのだろうか」

そう思ったときこそ、一度立ち止まって、自分と仕事との関係を整理してみませんか。