2026/10/3
「家族の調子が悪いのですが、どう接すればいいのか分かりません」
「支えている私たちも疲れてきました」
相談に来られたAさんは、40代の会社員でした。
Aさんの家族は数年前からメンタルヘルスの不調を抱え、医療機関への通院を続けていました。
調子が良い日は一緒に食事をしたり外出したりできますが、状態が悪くなると部屋に閉じこもり、強い言葉を口にしたり、家族と衝突したりすることもありました。
Aさんは、
「病気だから仕方がない」
と思いながら、できるだけ話を聞いてきました。
しかし長期化するにつれ、家族全体に疲れが広がっていきました。
配偶者は、
「何を言っても怒られる」
「もう私も限界」
と訴えるようになり、夫婦間でも意見が食い違います。
Aさん自身も職場で、
「今、家で何か起きていないだろうか」
と気になり、仕事に集中できないことが増えていました。
そんなときAさんが思い出したのが、勤務先から案内されていた福利厚生での相談サービスでした。
「自分自身が病気というわけではないし、家族の相談でも利用できるのだろうか」
と迷いましたが、問い合わせて利用できることがわかり、費用面の負担も少ないことが後押しとなり、相談につながりました。
カウンセリングで最初に整理したのは、本人の病状を回復させる方法そのものではなく、
どのように話を聞くのか。
励ますことが負担になる場面はないか。
家族だけで抱え込まず、主治医や支援機関へ相談した方がよいことは何か。
そして何より、
支えている家族自身が疲れ切らないためにはどうするか
を一緒に考えました。
Aさんは、
「家族なのだから、いつでも話を聞かなければならないと思っていました」
と振り返りました。
いつの間にか、支えることはすべてを背負うことのように考えていたようでした。
しかし、支える家族にも休む時間が必要です。
相談を重ねる中で、Aさん夫婦は本人の状態に一喜一憂するのではなく、
「今日は少し話せそうだね」
「今はそっとしておこう」
「助言は控えて、まず話を聞こう」
など、その日の状態に合わせて関わるようになりました。
夫婦同士でも、不安や疲れを責め合うのではなく、
「自分もつらい」
と率直に話せるようになっていきました。
本人の不調がすぐになくなったわけではありません。
それでも、
家族全員が疲れ切ってしまう状態から、それぞれが自分の生活を保ちながら支えあう状態へ
少しずつ変化していきました。
「本人が相談に行かないから、何もできない」
と考える必要はありません。
まず支えている家族が相談し、少し楽になること。
それが、本人を長く支えていくための第一歩になることもあります。
